日本臨床心理学会について

私たちの会は学術団体ですが、 臨床心理(学)を専門とする人だけではなく「患者」
「障碍者」「被害者」「被災者」「クライアント」と呼ばれる人、そしてその家族や関係者、
さらに広く臨床心理(学)に関わるテーマに関心を持つ人など、 多様な立場の人々が参加しています。
私たちは多様性を尊重し、大切にしたいと考えています。

通称「日臨心」と呼ばれる私たちの学会は、個々の人々が抱えるさまざまな問題の原因・要因をその心理的枠組みの中でのみ追求する狭い臨床心理学の研究に限定したり、 専門家の視点からのみ支援・援助を考えて行ったりしようとする傾向に対しては、強く警戒します。
そして、

どんな心理的問題・課題に対しても、社会的また歴史的な背景を重視し、
生活者としての視点を忘れてはならないと考えています。
専門家とそのサービスを受ける側、それ以外の関係者・一般市民が、連携・交流・協働しながら、
社会・集団・家族そして自己に対する見方や関わり方を、絶えず見直して行きます。

この学会、日本臨床心理学会は1964年に設立されました。当時の学会活動は専門家による、臨床心理学・臨床心理技術の研究に終始していました。
しかし「 臨床心理士」 資格認定の問題を契機に、専門家による臨床心理学的関わりは、心理テストやカウンセリング等を受ける立場の人々の状況を考えずに行われているため、 カウンセリング等を受ける人々を支配・ 抑圧しているのではないかと いった疑問や問題性が持ち上がりました。
それを受けて1969 年の総会で、 そのことについて本格的な議論が開始され、1971年に「 学会改革委員会」 が設立され新たな学会運営がなされるようになりました。
その後に、ここから出た人たちによって、専門家だけに限るとして1982年に生まれたものが、
「日本心理臨床学会」です。

日本の臨床心理学には、その後も様々な変遷がありましたが、

私たちは一貫して、専門家だけの研究集団にならないように、
様々な立場の人々が一緒になって「ともに」を大切に、「臨床心理(学)」について考え、
「臨床心理学」を問いながら、その活動をくり広げようとしてきました。
私たちが大切にすることは、「研究」をもっとも広く考え、違った分野と世界に生活する者同士の交流です。

そうした考えに基づいて私たちは、さまざまな人たちと自由に意見を交換出来るよう、 また支援や援助のあり方を見直し、新しい仕方を提案できるように、年1回の大会の開催をしています。
その他、相互に学び合う学習会や実験的なフォーラムやその他の研修会などの開催も続けています。
社会的なテーマに対して関心をもち、時に学会としての意見を声明文として発表するといった活動なども行って来ました。 そうした活動の報告や研究成果を発表できる場として、年2回の学会誌の発行も行っています。

この学会に入るのに学歴や資格などが問われることはありません。私たちの理念と趣旨に賛同される方であれば、 基本的にどなたでも入会できます。仲間になって、一緒に新しい動きを作りませんか?